ビットコイン 今後の展望(2025年8月)

Bitcoin 経済

ビットコインとは何か?基礎から仕組みまで

ビットコイン(Bitcoin)は「インターネット上のお金(デジタル通貨)」のひとつであり、銀行などの中央機関を介さずに直接やりとりできる特徴を持つ。

その仕組みの核となるのがブロックチェーンだ。これは、ビットコインの取引記録を安全に保存する分散型のノートのようなもので、「ブロック」という取引情報のかたまりを連結(チェーン)している。

なぜ安全かというと、主に2つの理由がある。

  1. 世界中の多数のコンピューター(ノード)が同じ記録を持ち、勝手に改ざんすると無効になるから。
  2. 各ブロックが前のブロック情報を暗号的に含み、途中を変えると次のブロックと整合せず改ざん防止になるからだ。

取引はネットワークに広がり、一定時間ごとにマイナーが手数料の高いものを選んでブロックにまとめ、計算(マイニング)で正当性を証明しブロックチェーンに追加する。この承認は複数回繰り返され、約1時間(6ブロック分)積み重なると事実上改ざん不可能になる。

取引記録は「ノード」と呼ばれる世界中のコンピューターが保存し、2025年現在ブロックチェーン全体のデータは約600GBに達している。スマホウォレットは全データを持たずフルノードに確認を依頼する仕組みだ。

ビットコインの歴史と報酬構造、マイニングの現状

ビットコインは2009年1月3日にサトシ・ナカモトが最初のブロック(ジェネシスブロック)を生成し、最初の報酬は50BTCだった。約10分ごとに新しいブロックが生成され、発行されるビットコイン量は21万ブロック(約4年)ごとに半減する。

総発行上限は2100万BTCで、2140年頃に到達予定。以降は新規発行が停止し、マイナーは取引手数料のみを報酬として受け取る。

報酬の半減推移は以下の通りだ。

時期ブロック報酬
2009〜201250BTC
2012〜201625BTC
2016〜202012.5BTC
2020〜20246.25BTC
2024〜20283.125BTC
2028〜20321.5625BTC

2025年8月1日時点で約1940万BTCが発行済みで、残り約160万BTCが今後100年以上かけて発行される見込みだ。

マイニング報酬は現在、ブロック報酬3.125BTCに加え、取引手数料約0.3〜1BTCが付くため合計約3.5〜4BTC。1BTCの価格は約1700万円であり、1ブロックあたり約6,400万〜7,000万円の価値がある。

しかし、マイニングは非常に競争が激しく、10分に1回しか成功しない。個人が普通のPCで掘れる量は1か月で約0.00001BTC(約170円)と極めて少なく、電気代を考えると赤字になる。

価格の動向と将来予測:半減期モデルとストック・フロー比(S2F)

ビットコイン価格は半減期のたびに希少性が高まるため、上昇圧力がかかるとされる。マイナーが採算を取るには価格の上昇が不可欠であり、世界的な投資需要や決済利用、インフレ回避の手段としての需要拡大も期待されている。

ただし、各国の規制強化、新技術の登場、投資家心理の変化やバブル崩壊のリスクも存在する。

過去の実績価格とS2Fモデルによる予想価格をまとめる。

https://g.co/finance/BTC-JPY
半減期の年ブロック報酬実績価格(2024年1〜12月平均)S2Fモデル予想価格前回比(倍率)
201225BTC約1,200円
201612.5BTC約7万円約58倍
20206.25BTC約120万円約17倍
20243.125BTC約1,400万円約12倍
20281.5625BTC約2,800万円
20320.78125BTC約5,600万円
20360.390625BTC約1億1,200万円
20400.1953125BTC約2億2,400万円
20440.09765625BTC約4億4,800万円

ストック・フロー比(S2F)は「市場にあるBTC総量 ÷ 年間新規発行量」で計算され、半減期により新規発行量が減るためS2Fが急上昇する。金のS2Fは約60〜70であるのに対し、ビットコインは将来的にそれを上回る希少性を持つとされる。

ただし、価格はS2Fだけで決まるわけではなく、需要、規制、技術革新の影響も大きい。

政府によるビットコイン保有状況と今後の展望

近年、各国政府によるビットコイン保有が注目されている。米国政府は主に法執行機関を通じて犯罪捜査で押収したビットコインを管理しており、2025年8月時点の保有量は約29,000 BTCと公表されている。これは以前に報告されていた約198,000 BTCから大幅に減少した数字であり、公開情報の整備が進んでいる状況だ。

また、ホワイトハウスはデジタル資産政策の一環としてビットコインの戦略的備蓄設立を検討していることが報告されているが、具体的な詳細はまだ明らかにされていない。これは将来的な金融政策の多様化やデジタル資産活用の可能性を示唆するものだ。

他国でも中国やイギリス、エルサルバドルなどがビットコインを国家準備資産として保有し、活用を進めている。これによりビットコインの国家的価値と認知が高まっていると言える。

考察

政府保有ビットコインは、これまで主に法執行機関の押収物として扱われてきたが、今後は戦略的資産としての保有が増える可能性がある。これが進めば、ビットコインは単なる投機対象を超えて、国家の金融政策や資産多様化の一角を占める存在となるだろう。

一方で、政府の関与が増すことで、規制強化や監視体制の強化が進む可能性も高く、ビットコイン市場の自由度には影響を及ぼすリスクがある。

したがって、ビットコインの今後の価格動向や市場の成長は、技術的な進歩と並び、各国政府の政策動向にも強く依存すると考えられる。

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