交通の利便性の高さと、住みやすさを両立している山手線沿線の「田端」駅。賃貸物件と中古分譲物件の情報を詳細に分析し、その相場と、住みやすさの秘密を解説する。
田端の魅力:安さと住環境がトップクラス
山手線で「中古マンションの価格相場が安い駅ランキング」や「家賃相場が安い駅ランキング」では、常に上位にランクインする田端。しかし、山手線はそもそも東京都内でも価格相場がトップクラスの路線。それがゆえ、安さと住環境の良さが、田端の最大の魅力になっている。
田端駅は山手線と京浜東北線の2路線が利用でき、東京駅まで約16分でアクセスできる。
隣駅の西日暮里駅は徒歩圏内で、西日暮里駅には千代田線と日暮里・舎人ライナーが乗り入れている。西日暮里周辺は、人気散歩スポット「谷根千」エリアが存在している。
賃貸物件相場分析:広さと築年数がカギ
周辺エリアの2LDK賃料は、築年数や駅からの距離によって大きく変動している。
- 築浅・駅近物件: 築年数が浅く、駅から徒歩10分圏内の物件は、20万円台後半の賃料が多く見られる。築数年の物件は、築年数の新しさや駅への近さが評価され、22万円前後からと高めの賃料設定である。
- 築年数が古い物件: 築30年以上の物件では、12万円から16万円台といった比較的安価な賃料も存在する。
- 駅からの距離: 徒歩15分以上離れると、築浅でも賃料が抑えられている傾向にある。築数年の物件でも、駅から距離があるため、18万円からと手頃な価格設定だ。
この分析結果から、「山手線沿線に住みたいが、賃料を抑えたい」と考える人にとって、築年数や駅からの距離という条件を調整することで、予算に合わせた物件を見つけやすいことがわかる。
賃貸物件相場:エリアと間取りで見る価格差
荒川区と北区の賃貸物件の価格傾向を町名ごとに分析する。
- 荒川区の傾向: 荒川区の賃貸物件は、北区と比較して家賃が抑えられている傾向がある。特に、駅から少し離れた場所では、築年数や間取りを調整することで、手頃な物件が見つかりやすい。
- 西尾久・東尾久: 荒川区西尾久や東尾久には、築年数が古い物件や駅から徒歩10分以上離れた物件が多く、ワンルームや1Kの家賃は5万円台から見つかる。築4年のワンルームでも6万円台前半、築10年の1Kでも8万円台後半の物件があり、築年数や広さを考慮すると比較的リーズナブルな家賃設定である。
- 西日暮里: 荒川区西日暮里に位置する物件は、田端駅や西日暮里駅へのアクセスが良い場所が多く、家賃は比較的安定している。ワンルームや1Kで8万円台から、2LDKでは13万円台の物件も見られる。
- 北区の傾向: 北区の賃貸物件は、駅に近接しているものが多く、全体的に荒川区よりも家賃が高い傾向にある。
- 田端新町・中里: 北区田端新町や中里は、田端駅から徒歩10分圏内の物件が豊富で、家賃も高めである。ワンルームや1Kで8万円台後半から、1LDKで14万円台から見つかる。築浅の2LDK物件は24万円台と、高価格帯の物件も存在する。
このように、荒川区では価格を抑えた物件を探しやすく、北区では利便性の高い物件に家賃を払う傾向がある。どのエリアに住むかは、予算やライフスタイルに合わせて検討することが重要だ。
中古分譲物件相場分析:多様な価格帯から選択可能
提供された中古分譲物件の情報と市場データを総合的に分析すると、築年数や立地条件によって価格が大きく左右されている。
- 築浅物件: 築5年以内の築浅分譲マンションは、6,000万円台から8,000万円台の価格帯が多い。築浅で駅徒歩10分圏内の物件は、8,000万円台の価格が提示されている。
- 築年数が経過した物件: 築20年以上の物件では、4,000万円台から見つけられる。築年数が古くても、リノベーションや立地によって価値が維持されている物件も存在する。
- 立地と広さ: 駅徒歩10分圏内の物件は、築浅でなくても比較的高い相場を維持する傾向にある。また、広さによっても価格は異なり、2LDK(約50m²前後)は4,000万円台から8,000万円台、3LDK(約70m²以上)は6,000万円台から9,000万円台が中心だ。
山手線沿線という交通利便性の高さから、このエリアは資産価値が安定していると言える。将来的な売却も視野に入れると、中古分譲マンションの購入は、賃貸で賃料を払い続けるよりも賢い選択になる場合がある。
中古分譲物件相場:エリアと間取りで見る価格差
荒川区と北区の物件価格を町名ごとに分析する。
- 荒川区の傾向: 荒川区に位置する物件は、価格が抑えられている傾向がある。特に、駅からやや離れた場所に位置する物件が多い。
- 西尾久: 荒川区西尾久に位置する物件は、築年数によって価格が大きく異なる。築45年の2DK物件は2,280万円から2,390万円台で販売されている一方、築3年の3LDK物件は6,480万円と高額だ。駅からバス利用の築26年3LDK物件は3,980万円で、リノベーション済みの築44年1LDK物件は2,380万円と、築年数や広さによって価格の幅が広い。
- 東尾久: 荒川区東尾久の物件も、築年数や広さによって価格にばらつきがある。築28年2LDKは3,480万円、築29年3LDKは4,580万円、築21年2LDKは5,980万円、築7年2LDKは5,480万円など、築年数の割に価格が維持されている物件もある。
- 西日暮里: 西日暮里に位置する物件は、田端駅から徒歩15分圏内のものが多く見られる。築15年程度の3LDK物件は7,770万円、築14年程度の2LDK物件は7,980万円と、高価格帯の物件が存在する。
- 北区の傾向: 北区に位置する物件は、駅に近く、価格が比較的高い傾向がある。特に、田端新町は築浅物件が多く、高価格帯の物件が集まっている。
- 田端新町: 北区田端新町は、築浅物件が多く、価格が高めだ。築3年の2LDKは8,480万円で、複数の業者から同じ価格で掲載されている。築18年の2LDK物件は5,980万円、築18年の3LDK物件は6,480万円だ。
- 中里: 北区中里に位置する物件は、築古物件が中心で、価格は比較的落ち着いている。築29年の1LDKは7,980万円、築49年のワンルームは1,890万円である。
このように、荒川区の物件は比較的リーズナブルな価格帯から見つけやすい一方、北区、特に田端新町の物件は築浅な物件が多いため高額なものが目立つ。
住みやすさの魅力
このエリアは、単に賃料が手頃なだけでなく、生活の質を高める魅力が豊富だ。
アクセスの良さ
山手線と京浜東北線が利用できるため、都心主要駅まで乗り換えなしでアクセスできる。また、西日暮里駅を利用すれば、千代田線や日暮里・舎人ライナーも使える。通勤や通学だけでなく、休日の外出にも非常に便利である。
治安と医療環境
複数の区にまたがるエリアであり、犯罪発生率が低いという評価がある。駅の近くには交番があり、巡回も頻繁に行われ、安心して暮らせる環境が整っている。また、近隣には総合病院から地域密着型の個人クリニックまで充実しており、医療面での心配が少ない。
物価と生活環境
物価が比較的安く、スーパーや商店街も多い。日常生活の買い物が便利で、都心にありながらも落ち着いた雰囲気が特徴だ。静かで穏やかな生活を求める人に適した環境である。
山手線沿線という希少な立地にありながら、手頃な賃料と安定した資産価値を兼ね備えたこのエリア。これから新しい生活を始める人にとって、賃貸・購入のどちらを検討するにしても、魅力的な選択肢である。

