外国人「経営・管理ビザ」3,000万円要件へ改正!個人飲食店が生き残るためのサバイバル戦略

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在留資格「経営・管理」の要件改正

2025年10月16日、在留資格「経営・管理」の要件が「資本金500万円」から「資本金3,000万円」へと一気に引き上げられた。この改正は、日本における外国人の起業環境、とりわけ「飲食店」の現場にパラダイムシフトをもたらしている。

今後、世の中や飲食店業界はどう変わるのか。高度な正確性が求められる新基準の内容と、既存のオーナーが「2028年の壁」を乗り越えて生き残るための現実的なアプローチを徹底解説する。

1. 飲食店経営はどう変わる?今後の世の中の予測

これまで日本で個人経営の飲食店(カレー店、中華料理店、居酒屋など)を立ち上げる外国人の多くは、「旧・経営・管理ビザ(500万円要件)」や、雇われコックからの独立である「技能ビザルート」を利用してきた。

しかし、今回の「3,000万円要件」により、今後のビジネスモデルや街の景色は以下のように変化する。

小規模な「街の個人店」の新規参入はほぼ壊滅

「親戚から500万円を集め、家族経営で小さく回すアットホームな店」の新規オープンは極めて困難になる。3,000万円の資金に加え、常勤スタッフを1名以上雇用する固定費的負担が高すぎるためだ。

「高級・高単価路線」や「海外巨大資本」の二極化

高いコストを回収するため、今後は以下のような高付加価値型ビジネスが主流となる。

  • 欧米・アジアの富裕層を狙った、客単価数万円の高級和食や寿司店
  • 母国で成功している大手有名チェーンの日本進出
  • 観光地に特化したインバウンド向けレストラン

既存オーナーを襲う「2028年10月の壁」

現在500万円で営業している既存オーナーには、2028年10月までの経過措置(3年間の猶予期間)がある。

しかし、この猶予期間中の更新審査は「現状維持でそこそこ黒字」というだけでは通らない。毎年の更新時に「2028年の期限までに新基準へ適合できる見込み」を総合的に厳しく判断されるため、事業継続への説得力ある見込みを示せなければ、猶予期間中であっても更新不許可になるリスクに直面する。

資金力が追いつかない経営者が店を売却し、自らは労働者側のビザに切り替えて大手チェーンに雇用される「経営者から労働者への逆流」も予測される。

2. 勘違い厳禁!「3,000万円貯めれば継続できる」わけではない

よくある勘違いが、「自分の個人の口座に3,000万円を貯めればセーフ」というもの。これは間違いだ。

国が求めているのは個人の貯金額ではなく、「会社の資本金(投資規模)」である。継続(更新)するためには、個人のお金を会社の口座に移し、正式に「増資(資本金3,000万円)」の登記を完了させなければならない。

さらに、今回の改正によって要件は「資本金3,000万円以上」かつ「常勤職員1名以上の雇用」という併用要件に変更された。お金だけでなく、以下の条件も同時にクリアする必要がある。

  • 常勤職員1名以上の雇用:対象となるのは、日本人、または「永住者」「配偶者ビザ」「定住者」などの身分系ビザ保持者が確実なラインとなる。就労制限のある留学生アルバイトは対象外であり、一般の就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)保持者の算入可否については実務上個別判断となるケースがあるため、詳細は事前に専門の行政書士への確認が必要だ。
  • 日本語能力の証明:日本語能力試験N2相当(日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より複雑な会話や文章、ニュースやビジネスの場面に対応できるレベル)または、我が国の義務教育を修了し高等学校を卒業していること。
  • 経営・管理の経験・学歴要件:以下のAまたはBのいずれかを満たすことが必要。
    • A:事業の経営または管理に関して3年以上の実務経験
    • B:経営・管理関連分野の修士号以上の学位
      (※いずれの場合も、事業内容との関連性や実務の具体性を示す書類が重要となる)。

3. 2028年の壁を突破する!お金を貯めて「増資」する3つの現実的ルート

現場の外国人オーナーが3,000万円への増資を達成するためのルートを整理する。

入管(出入国在留管理庁)はマネーロンダリングや「見せ金(一時的に借りてすぐ返すお金)」を激しく警戒するため、ただ計画書を出すだけでは認められない。
中小企業診断士や税理士、公認会計士といった外部の専門家による「評価書」を添付した上で、資金の出所(ソース)を100%客観的に証明する必要がある。

ルート①:お店の利益を積み上げる

しっかり確定申告を行い、出た利益を一度オーナー個人の「役員報酬」として高く受け取る(税金はかかるが、最もクリーンな証明になる)。その貯まった給料を会社の口座に振り込んで増資する。

ルート②:本国の親族から「国際送金」してもらう

自力で貯めるのが間に合わない場合、本国の親や親戚から資金を借りる・もらう方法。ただし、入管から「送金してくれた親が、どうやってその大金を用意したのか(親の収入証明や不動産売却契約書など)」まで厳しく遡って証拠を求められる。

ルート③:日本国内で「共同経営者(出資者)」を見つける

信頼できるパートナー(日本人や永住者など)に会社の株を持ってもらう見返りに出資してもらい、会社の役員(取締役)として迎える方法。名前だけの「名義貸し」と疑われないよう、そのパートナーが実際にどんな業務(経理やマーケティングなど)を担当するのか、明確な役割分担が必要だ。

4. 増資の手続きステップ

お金の準備と出所の証明ができたら、以下のステップで法的な手続きを進める。
通常は司法書士や行政書士と進めることになる。

1. 増資の決定:株主総会の決議。

会社で「資本金を3,000万円に増やします」という決定を行い、議事録を作成する。

2. 会社口座への入金:資金の払い込み。

オーナー個人の口座から、会社の銀行口座へ増資する分の資金を振り込む。この振込履歴のある通帳コピーが最も重要な証拠となる。

3. 登記の書き換え:法務局での変更登記。

司法書士を通じて法務局へ申請し、会社の「履歴事項全部証明書(登記簿)」の資本金額を正式に3,000万円に変更する(約1〜2週間)。

4. ビザの更新・変更申請:入管への申請。

新しくなった会社の登記簿と、増資した資金の出所を証明する大量の書類、専門家の確認がついた事業計画書を添えて、入国管理局に提出する。

5. まとめ:今すぐ始めるべきサバイバル戦略

今回の3,000万円への引き上げは、「日本でビジネスをするなら、相応の資本と地域への雇用貢献、長期的かつ安定的な計画性を持ってきなさい」という国からの強いメッセージだ。

既存の外国人オーナーが取るべき現実的なアクションは、「2028年10月の期限に向けて、毎年500万〜1,000万円ずつ、段階的に増資と雇用を進めていく具体的なロードマップを今すぐ作ること」である。猶予期間があるからと放置し、「最後の年に一気に3,000万円にする」という無理のある計画を出しても、毎年の更新審査で「実現の見込みがない」と判断されハネられるリスクが極めて高い。

もし、どうしても3,000万円への増資や常勤雇用の維持が難しい場合は、経営を諦めるのではなく、以下のような「雇用される側(労働者)のビザ」への切り替えや、他社との共同経営・M&A(合併)など、別の現実的な生存戦略を視野に入れる必要がある。

  • 特定技能ビザ(外食業分野):外食業の技能試験および日本語試験に合格し、他の飲食店に現場スタッフや店長候補として雇用されるルート。
  • 技能ビザ:外国特有の料理の料理人として10年以上の実務経験がある場合、他店のコックとして雇用されるルート。

「まだ猶予がある」と後回しにせず、まずは一度、外国人ビザに強い行政書士や会社の顧問税理士に現状を相談し、専門家のバックアップのもとで早めの対策をスタートさせるべきだ。

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