警察車両とそれぞれの部隊の役割とは?
街中で見かける警察車両には、普通の白黒パトカーだけでなく、青と白のストライプが施された大きなバスや、覆面パトカーなど様々な種類が存在する。これらは警察組織の中で、それぞれ異なる役割(管轄)を持った部隊が運用している。
年間走行距離
パトカーは配属先によって走行距離が異なると考えられる。
国費一括調達のクラウン(無線警ら車・交通取締用四輪車)は、7年サイクルで次世代型式に置き換えられているというのが、購入記録から追える実態である。
年間走行距離から推測すると、
所轄署配置の警らパトカーは、25万〜50万kmで廃車になり、
交通機動隊・高速隊配属車パトカーは、50万〜75万kmで廃車になると思われる。
| 区分 | 1日あたり | 年間換算(×365日) |
|---|---|---|
| 所轄署配置の警らパトカー | 100〜200km | 3.7万km〜7.3万km |
| 自動車警ら隊(自ら隊) | 100〜200km以上 | 4万km〜8万km |
| 交通機動隊・高速隊配属車 | 200〜300km以上 | 7.3万km〜11万km |
主な5つの部隊
警視庁の場合、対空表示を読み解く上で重要となる、主な5つの部隊とその役割は以下の通りだ。
1. 警察署(地域課など)
身近な街の安全を守る拠点である。管轄内のパトロールや110番通報への駆けつけを行う「地域課」の白黒パトカー(無線警ら車)などが所属している。屋根には「荒2」(荒川2の略)のように、その警察署の略称が書かれることが多い。

2. 自動車警ら隊(自ら隊)
各都道府県の警察本部(警視庁など)に直轄する、パトロールのスペシャリスト集団である。特定の警察署の管轄に縛られず、広いエリアを網羅して不審な車両の職務質問や事件の初動捜査を行う。

3. 交通機動隊(交機)
主に一般道路での交通指導や取締り(スピード違反や白バイ活動など)を専門とする部隊である。白バイだけでなく、白黒パトカーや高性能な覆面パトカーを運用している。
交通機動隊の場合、パトカーのルーフに昇降装置を搭載すると、空気抵抗が増え、走行性能や最高速度が落ちてしまうため、運動性能を重視する交通機動隊のパトカーには採用されない。


4. 高速道路交通警察隊(高速隊)
高速道路や有料道路上での交通取締り、事故処理、安全指導を専門に行う部隊である。高速走行に対応したハイパワーなスポーツカータイプのパトカーなどが配備されている。
5. 機動隊
災害時の救助活動、大規模なイベントの警備、暴動の鎮圧、テロ対策などを担う、警察の「実力部隊」である。隊員を大量に運ぶための「大型輸送車(青と白のストライプのバス)」や特型警備車などを運用している。

機動隊の「白黒パトカー」に関しては、「警察署でお払い箱になった車両」が再利用されているケースが多い。機動隊が白黒パトカーを使う場面は、大規模な警備現場やイベント会場周辺での見せる防犯、隊員の移動や現場での資機材の搬送・拠点確保、災害発生時などの出動である。日常的に激しい走行を行うわけではないため「多少型落ちで走行距離が多くても、問題なく走ることができれば十分に任務を果たせる」というわけである。
そのため、機動隊所属パトカーだと、今でも20年経過した車両を見かけることがあるというわけである。




機動隊の大型輸送車で見かける「1-09」の意味
機動隊の大型輸送車の車体に「1-09」とペイントされている場面がある。
これはパトカーの対空表示に似ているが、機動隊独自の「車両管理番号(コールサインに連動するもの)」と考えられる。
- 最初の数字(1):所属する「部隊の番号」(例:第一機動隊など)
- 後ろの数字(09):その部隊内での「車両の通し番号」つまり「1-09」と書かれた車両は、「第一機動隊の9号車」を示していると考えられる。




パトカーの屋根に書かれている文字(対空表示)の意味とは?
白黒パトカーの屋根に大きく書かれている文字や数字は、「対空表示(たいくうひょうじ)」と呼ばれる。警察のヘリコプターなどから上空を飛行する航空隊などが、地上を走る車両が「どこの警察署」の「何課(またはどの車両)」に所属しているのかを瞬時に識別するためにペイントされている。同様の趣旨の表示は消防車・救急車にも見られ、こちらは一般に「ヘリサイン」とも呼ばれる。
基本的には、以下のような構成になっている。
- 前半の文字・数字:所属する「警察署(または方面・部隊)」
- 後半の文字・数字:所属する「課(または車両番号)」
警ら用無線自動車等への識別標識等の表示について(通達の要約)
提示された警察庁の通達(平成31年3月27日付け)は、警察用航空機(ヘリコプター等)と警察車両との連携を強化するため、パトカーの「屋根」と「トランク」に識別用の文字や警察名を表示する基準を定めたものだ。
主要なポイントを以下に整理する。
主な表示対象
- 警ら用無線自動車(一般的な無線パトカー)
- 交通取締用四輪車(覆面パトカーは除く)
1. トランクへの表示(警察名)
- 場所: トランク蓋の表面
- 内容: 都道府県警察名(例:「警視庁」「神奈川県警」など)を「警察名表示基準」に基づいて表示する。
2. 屋根への表示(識別標識)
対空識別のため、赤色灯の後ろの屋根にゴシック体の黒色で表示する。配置先によって表示する数字や漢字のルールが異なる。
警察本部に配置されている車両
- 表示内容: 無線局の呼出名称の数字3桁(例:
001、055、999)
※対応が難しい都道府県は、一部の車両で漢字と数字の組み合わせも可能。 - サイズ目安: 縦65cm × 横35cm(太さ5〜10cm)
警察署に配置されている車両
原則として「配置警察署の漢字一字」+「無線呼出の数字」を組み合わせる。
| パターン | 具体例 | 漢字のサイズ | 数字のサイズ |
| 数字が1桁の場合 | 麹1 | 一辺 65cm | 縦 65cm × 横 40cm |
| 数字が2桁の場合 | 麹20 | 一辺 55cm | 縦 55cm × 横 25cm |
補足事項
- 表示の向き: 車両の前方に向かって左横書き(左から右に読む)で配置する。
- 旧通達の廃止: 本通達の制定に伴い、平成2年2月22日付けの古い通達(丙勤発第4号など)は廃止されている。
警察署の車両パターン(自動車警ら隊・地域課)
「富坂2」のように、漢字1〜2文字(多くは所属警察署名の一部)に数字が組み合わされているものは、街中をパトロールする「自動車警ら隊(自ら隊)」や、各警察署の「地域課」のパトカーである。屋根には省略された一文字(例:城東警察署なら「城」)と号車番号が書かれる。
例:フロントガラスに「城東3」と表記される車両の場合、屋根には「城3」と表示される。

なお、屋根に地名(漢字)が書かれている場合は所轄の警らパトカーであり、数字は1から始まる通し番号で、車体が入れ替わっても番号は原則として引き継がれる。
交通機動隊のパターン(「○交○」)
「○交○」のように、数字で「交」を挟んでいるものは、警察署ではなく本部直轄の「交通機動隊(交機)」の車両である。
ここで注意が必要なのは、現在の警視庁の交通機動隊は、必ずしも「方面番号=隊番号」ではないという点だ。
警視庁の現行組織(2026年時点)では、交通部隷下の交通機動隊は以下の7隊のみで構成されている。
- 第一交通機動隊
- 第二交通機動隊
- 第三交通機動隊
- 第四交通機動隊
- 第八方面交通機動隊
- 第九方面交通機動隊
- 高速道路交通警察隊
かつては方面ごとに交通機動隊が置かれ、方面番号と隊番号が対応していた時期があった(例えば2009年時点では「第十方面交通機動隊」という部隊が存在した記録が残っている)。
しかし令和5年(2023年)4月1日付で、墨田・江東・葛飾・江戸川を管轄していた「第七方面交通機動隊」が「第四交通機動隊」へと改称されるなど組織の再編が行われ、現在は8方面・9方面(多摩地域)にのみ「方面」を冠した名称が残り、それ以外は方面と直接結びつかない連番(第一〜第四)になっている。
したがって、「5交」「6交」「7交」「10交」のような表示が現在も存在するかどうかは確認できておらず、対空表示の先頭数字を単純に「方面番号」と読み替えることはできない。
対空表示の実例としては、フロントガラスに「六交機9」であれば屋根には「6交9」と表示される。
本部直轄部隊の識別記号
1. 自動車警ら隊
対空表示の形式:「1○○」「2○○」「8○○」「9○○」
警視庁の自動車警ら隊は、第一自動車警ら隊・第二自動車警ら隊・第八方面自動車警ら隊・第九方面自動車警ら隊の4隊のみで構成されている。
対空表示の最初の数字がそのまま隊番号(1、2、8、9のいずれか)を示し、下2桁が通し番号となる(例:「112」なら第一自動車警ら隊の12号車)。
2. 機動捜査隊(機捜)
主に覆面パトカーなどで事件捜査を行う部隊。警視庁の機動捜査隊は第一機動捜査隊・第二機動捜査隊・第三機動捜査隊の3隊のみで構成されている(これとは別に公安部隷下の公安機動捜査隊が存在する)。
3. 機動隊
対空表示の形式:「○機」
警視庁の機動隊は第一機動隊から第九機動隊までの9隊と、特科車両隊で構成されている。
4. 高速道路交通警察隊
対空表示の形式:「速」
例:高速道路交通警察隊所属3号車であれば、フロントガラスには「高速3」、屋根には「速3」と表示される。高速隊は1隊編成のため、他の部隊のような隊番号は付かない。
5. 遊撃特別警ら隊(地域総務課)
対空表示の形式:「遊」
フロントガラスには「遊撃1」、屋根には「遊1」と表示される。
6. 地域指導課
対空表示の形式:「地指」
警視庁の方面本部と警察署の区分
警視庁には第一から第十まで、10の方面本部が置かれており、本部(霞が関)と所轄署の中間的立場として各所轄の連携・広域対応・監察業務を担っている。
もともとは第九までの9方面本部体制であったが、2002年(平成14年)に北区・板橋区・練馬区を分離独立させた第十方面が新設され、現行の10方面本部体制となった。
第一方面
- 担当エリア:千代田区・中央区・港区・島嶼部、および品川区・大田区・江東区の東京湾岸警察署管轄区域
| 表示 | 識別(どこの警察署か) |
| 麹 | 麹町警察署 |
| 丸 | 丸の内警察署 |
| 神 | 神田警察署 |
| 万 | 万世橋警察署 |
| 央 | 中央警察署 |
| 久 | 久松警察署 |
| 築 | 築地警察署 |
| 月 | 月島警察署 |
| 愛 | 愛宕警察署 |
| 三 | 三田警察署 |
| 輪 | 高輪警察署 |
| 麻 | 麻布警察署 |
| 赤 | 赤坂警察署 |
| 湾 | 東京湾岸警察署 |
第二方面
- 担当エリア:品川区・大田区(東京湾岸警察署管轄区域を除く)
| 表示 | 識別(どこの警察署か) |
| 品 | 品川警察署 |
| 井 | 大井警察署 |
| 崎 | 大崎警察署 |
| 荏 | 荏原警察署 |
| 森 | 大森警察署 |
| 園 | 田園調布警察署 |
| 蒲 | 蒲田警察署 |
| 池 | 池上警察署 |
| 空 | 東京空港警察署 |
第三方面
- 担当エリア:目黒区・世田谷区・渋谷区
| 表示 | 識別(どこの警察署か) |
| 世 | 世田谷警察署 |
| 北 | 北沢警察署 |
| 玉 | 玉川警察署 |
| 成 | 成城警察署 |
| 黒 | 目黒警察署 |
| 碑 | 碑文谷警察署 |
| 渋 | 渋谷警察署 |
| 原 | 原宿警察署 |
| 代 | 代々木警察署 |
第四方面
- 担当エリア:新宿区・中野区・杉並区
| 表示 | 識別(どこの警察署か) |
| 牛 | 牛込警察署 |
| 宿 | 新宿警察署 |
| 戸 | 戸塚警察署 |
| 四 | 四谷警察署 |
| 中 | 中野警察署 |
| 野 | 野方警察署 |
| 並 | 杉並警察署 |
| 高 | 高井戸警察署 |
| 荻 | 荻窪警察署 |
第五方面
- 担当エリア:文京区・豊島区
| 表示 | 識別(どこの警察署か) |
| 富 | 富坂警察署 |
| 塚 | 大塚警察署 |
| 土 | 本富士警察署 |
| 駒 | 駒込警察署 |
| 巣 | 巣鴨警察署 |
| 袋 | 池袋警察署 |
| 白 | 目白警察署 |
第六方面
- 担当エリア:台東区・荒川区・足立区
| 表示 | 識別(どこの警察署か) |
| 上 | 上野警察署 |
| 下 | 下谷警察署 |
| 浅 | 浅草警察署 |
| 蔵 | 蔵前警察署 |
| 尾 | 尾久警察署 |
| 南 | 南千住警察署 |
| 荒 | 荒川警察署 |
| 千 | 千住警察署 |
| 西 | 西新井警察署 |
| 竹 | 竹の塚警察署 |
| 綾 | 綾瀬警察署 |
| 足 | 足立警察署 |
第七方面
- 担当エリア:江東区(東京湾岸署管轄区域を除く)・墨田区・葛飾区・江戸川区
| 表示 | 識別(どこの警察署か) |
| 深 | 深川警察署 |
| 城 | 城東警察署 |
| 所 | 本所警察署 |
| 向 | 向島警察署 |
| 亀 | 亀有警察署 |
| 飾 | 葛飾警察署 |
| 松 | 小松川警察署 |
| 葛 | 葛西警察署 |
| 岩 | 小岩警察署 |
第八方面
- 担当エリア:多摩地域東部(立川市・武蔵野市・三鷹市・府中市など)
| 表示 | 識別(どこの警察署か) |
| 昭 | 昭島警察署 |
| 立 | 立川警察署 |
| 和 | 東大和警察署 |
| 府 | 府中警察署 |
| 金 | 小金井警察署 |
| 無 | 田無警察署 |
| 平 | 小平警察署 |
| 村 | 東村山警察署 |
| 武 | 武蔵野警察署 |
| 鷹 | 三鷹警察署 |
| 調 | 調布警察署 |
第九方面
- 担当エリア:多摩地域南部・西部(八王子市・町田市・日野市など)
| 表示 | 識別(どこの警察署か) |
| 青 | 青梅警察署 |
| 五 | 五日市警察署 |
| 福 | 福生警察署 |
| 八 | 八王子警察署 |
| 高尾 | 高尾警察署 |
| 南大 | 南大沢警察署 |
| 町 | 町田警察署 |
| 日 | 日野警察署 |
| 多 | 多摩中央警察署 |
第十方面
- 担当エリア:北区・板橋区・練馬区
| 表示 | 識別(どこの警察署か) |
| 滝 | 滝野川警察署 |
| 王 | 王子警察署 |
| 羽 | 赤羽警察署 |
| 板 | 板橋警察署 |
| 志 | 志村警察署 |
| 島 | 高島平警察署 |
| 練 | 練馬警察署 |
| 光 | 光が丘警察署 |
| 石 | 石神井警察署 |
交通機動隊・自ら隊・機捜の配置拠点一覧
各本部直轄部隊の本隊および執務統括場所(配置拠点)である。対空表示の読み解きや、街中での所属推測の補足として活用されたい。
方面交通機動隊の配置拠点
- 1交機:月島本隊→ 中央区晴海3丁目16、月島警察署
- 2交機:大森本隊→ 大田区大森北6丁目24-20
- 3交機:池尻大橋本隊、成城→ 第三方面本部自体は目黒区大橋2丁目
- 4交機:中野本隊
- 5交機:富坂本隊
- 6交機:小台本隊→ 現在は足立区小台1丁目4-4に「警視庁第四交通機動隊」がある。
- 7交機:新木場→東京都江東区新木場4丁目2 2023年4月1日付で「第四交通機動隊」に改称か。
- 8交機:立川本隊→ 立川市緑町3280の警視庁多摩総合庁舎(第八方面本部)に併設
- 9交機:八王子本隊→ 八王子市追分町14-20
- 10交機:赤羽本隊
自動車警ら隊の配置拠点
- 1自ら:中央本隊、玉川、蒲田→ 大田区蒲田本町2丁目29
※「中央本隊」については、「警視庁第一自動車警ら隊分駐所」の住所が港区海岸3丁目12-1であった。 - 2自ら:池袋本隊、南千住→ 荒川区南千住8丁目4-6、新宿→ 新宿警察署内(西新宿6丁目1-1)
- 8自ら:立川本隊
- 9自ら:八王子本隊
機動捜査隊の配置拠点
- 一機捜:新橋本隊→ 港区新橋6丁目18-8に「警視庁新橋庁舎」の登録あり
- 二機捜:原宿本隊→ 原宿警察署への併設とみられる
- 三機捜:立川本隊→ 警視庁多摩総合庁舎への併設とみられる
