相撲の門をたたくには?入門の年齢と条件
大相撲の世界に入るには、いくつかの条件がある。まず、年齢は義務教育を終えた15歳以上23歳未満が基本。ただし、アマチュアで優秀な成績を収めた選手なら、25歳未満まで入門資格が広がることもある。
体の大きさも大切だ。新弟子検査では、身長が167cm以上、体重が67kg以上という基準が設けられている。ただ、この基準を満たさなくても、相撲経験者や特に期待される若者には、特別な配慮がされることもある。
健康であることも重要な条件。内臓疾患や伝染病がないか、厳しい健康診断を受ける必要がある。心身ともに健康でなければ、過酷な稽古には耐えられないからだ。
厳しい階級社会、関取の人数とお給料
相撲界には、番付という厳しい階級制度がある。力士は約650人いるが、その中でも「関取」と呼ばれるのは、ごく一握り。十両以上の70人の力士だけが関取の称号を得られる。
階級別の関取の人数と給料
関取は、十両と幕内の二つの階級に分かれている。
階級 | 人数 | 年収(推定) | 月給(2025年時点) |
横綱 | 1〜4人 | 3600万円 | 300万円 |
大関 | 2〜4人 | 3000万円 | 250万円 |
関脇 | 2人 | 2160万円 | 180万円 |
小結 | 2人 | 2160万円 | 180万円 |
前頭 | 20〜30人 | 1680万円 | 140万円 |
十両 | 28人 | 1320万円 | 110万円 |
※ この年収は基本給のみで計算しており、懸賞金や三賞(殊勲賞、敢闘賞、技能賞)、金星などの手当は含まれていない。実際の収入はさらに増える。
懸賞金を含めた横綱の年間総収入の例
横綱が年間で7割の勝率(年間6場所、90取組のうち63勝)を維持した場合、懸賞金を含めた総収入は大きく増加する。
- 基本給(年収): 3,600万円
- 懸賞金: 懸賞金1本あたりの協賛金は7万円だ。このうち、力士の取り分は6万円で、内訳は以下の通りになる。
- 手取り(現金): 3万円
- 積立金: 3万円(引退時にまとめて支払われる)
- 相撲協会手数料: 1万円
横綱の取組には多くの懸賞金がかけられるため、ここでは1取組あたり平均30本と仮定する。
- 年間勝星数: 63勝
- 年間懸賞金総額: 63勝 × 30本/勝 × 6万円/本 = 1億1340万円
- 年間総収入(基本給+懸賞金): 3,600万円(基本給) + 1億1340万円(懸賞金) = 1億4940万円
※ この計算は仮定に基づくものであり、実際の懸賞金の本数や勝率によって収入は変動する。
力士褒賞金(持ち給金)
これは、十両以上の関取に本場所ごとに支払われる成績給。持ち給金は、過去の成績に応じて積み立てられる。
- 持ち給金の加算
- 勝ち越し1点につき:0.5円
- 金星1個につき:10円
- 幕内最高優勝(全勝以外):30円
- 幕内最高優勝(全勝):50円
この持ち給金の金額を基準に、場所ごとに「持ち給金×4000」で計算された金額が褒賞金として支給される。負け越しても持ち給金が減ることはない。
例えば、金星(大相撲で平幕力士が横綱に勝利したとき得られる)1個あると40,000円が、場所ごと(年6回)に加算して引退まで支払われる。(年24万円の加算)
その他の収入
給金や褒賞金とは別に、以下のような収入源もある。
- 優勝賞金
- 幕内最高優勝:1000万円
- 十両優勝:200万円
- 三賞(殊勲賞・敢闘賞・技能賞):各200万円
関取未満の力士の階級と給料
関取になれるのは十両以上の力士だけだ。十両未満の力士は「関取」とは呼ばれない。彼らは「力士養成員」として、大相撲の舞台を支えている。
階級 | 人数 | 年収(推定) | 給料(月額) |
幕下 | 120人 | 99万円 | 16万5千円の場所手当×6場所 |
三段目 | 180人 | 66万円 | 11万円の場所手当×6場所 |
序二段 | 180人 | 52万8千円 | 8万8千円の場所手当×6場所 |
序ノ口 | 40人 | 46万2千円 | 7万7千円の場所手当×6場所 |
※ この年収は場所ごとに支給される手当の合計で、ボーナスや年金、退職金はない。住居や食事などは相撲部屋が提供するため、そこから給料が引かれることもある。
関取になるまでは、厳しい稽古をこなしながら、場所ごとの手当で生活していくことになる。それでも、夢を追いかけている。
相撲部屋を支えるお金の流れ
相撲部屋は、力士たちの生活と稽古の場。相撲協会から部屋へは、様々な形でお金が流れている。
まず、力士の給料は相撲協会から支払われる。関取になれば、毎月安定した収入を得られる。それから、場所ごとに部屋には「養成費」や「力士育成費」といった名目でお金が支給される。これは、力士の食事や生活費、稽古に必要な道具などをまかなうために使われる。
例えば、関取未満の力士(力士養成員)の場合、
相撲協会から部屋へは、一人あたり年間約180万円が支給され、この費用が部屋の運営を支えている。
内訳:
力士養成費:幕下以下の力士一人につき月7万円
相撲部屋維持費:力士一人につき場所ごとに11万5千円
稽古場維持費:力士一人につき場所ごとに4万5千円
公益財団法人 日本相撲協会の財務状況
日本相撲協会は公益財団法人として、財務諸表を公開している。最新の2024年度決算(令和6年度)では、経常収益から経常費用などを差し引いた額は14億4500万円のプラスとなり、2年連続の黒字を計上した。また、正味財産は前年度から11億5700万円増加し、279億円となった。
これは、昨年28年ぶりに年6場所、全90日間の入場券が完売したことによる入場料収入の増加に加え、広告や物販収入の売り上げも貢献したためだ。
コロナ禍で長らく赤字が続いていたが、興行の正常化によって財務状況は大きく改善している。相撲協会の担当者からは「コロナ下での100億以上の赤字を取り戻すには、まだ6〜7割」との所感が述べられている。今後も収益の安定化と財務基盤の強化が課題となっている。
令和6年度(2024年) 財務概要
科目 | 2024年度(当年度) | 2023年度(前年度) | 増減 |
経常収益合計 | 14,666,272,691円 | 13,334,345,810円 | 1,331,926,881円 |
うち相撲事業収益 | 10,735,300,765円 | 10,097,351,346円 | 637,949,419円 |
うち貸館事業収益 | 834,233,049円 | 812,129,756円 | 22,103,293円 |
うち広告・物品販売事業収益 | 2,228,505,567円 | 1,592,757,736円 | 635,747,831円 |
経常費用合計 | 13,148,075,316円 | 12,871,204,615円 | 276,870,701円 |
うち事業費 | 12,571,172,849円 | 12,310,383,732円 | 260,789,117円 |
うち管理費 | 576,902,467円 | 560,820,883円 | 16,081,584円 |
当期経常増減額 | 1,445,076,731円 | 479,981,529円 | 965,095,202円 |
当期一般正味財産増減額 | 1,157,995,130円 | 346,923,620円 | 811,071,510円 |
正味財産期末残高 | 27,963,561,275円 | 26,806,058,123円 | 1,157,503,152円 |