20歳から10年務めた選挙の投票立会人のリアル

投票台 選挙

地味だけど信頼される、地域の中の“静かな仕事”

選挙立会人――聞いたことはあっても、実際に経験した人は少ない。
筆者は20歳で投票立会人を始め、東京都内で10年間務めた。

立会人の午前の勤務時間は、午前7時前から午後1時半頃まで。報酬は半日で約7,000円。途中に休憩があり、昼にはお弁当と茶菓子が支給された。午後勤務もあり、午後1時半頃から午後8時まで。午後勤務の場合は投票箱の輸送を担当する人と、帰宅する人に分かれていた。輸送担当は午後8時過ぎまで働き、終了後は車両で自宅まで送ってもらえた。

仕事は「投票箱の前に座って見ているだけ」と言えるほど負担は軽いが、投票用紙の配布数や持ち帰りなどの異常には注意を払う。投票用紙を持ち帰ろうとする人には立会人が直接声をかけて注意し、親が子供に代わって記入しようとする場合もやめさせる。視覚障害者には区の職員が代理記入を行っていた。

投票所内に自転車を持ち込もうとする人がいて、いざこざが起きたこともある。そんなトラブルが起きることもある現場だ。比例代表と選挙区の同時投票時は投票箱が2つあり、監視が難しくなることもあった。

私服警察官が毎回必ず投票所に常駐し、控室で待機することが多かったが、時に投票所内で監視することもあった。拳銃を携帯しているのが見えることもあった。これは筆者が立会人になる前から続く運用で、区と警察の方針だったと推測される。

立会人は町会役員や保護司など高齢者が多い中、筆者は若くして10年務め、区から功労者表彰を受けた。表彰式では、多くの受賞者が年配の方で、30歳前後の若者はいなかった。

転居後、地元の区議会議員に立会人経験を話すと、「こちらでも希望があれば推薦できます」と声をかけられたこともある。

今住む地域では区報で立会人を一般公募しており、区議会議員推薦枠もあるらしい。立会人の仕事は公的制度である一方、町内会や政治ネットワークの影響もあるようだ。

選挙立会人は大きな負担はないが、民主主義の根幹を支える重要な役割だ。若い人にも経験してほしい。報酬が出て、地域から信頼され、表彰されることもある。地味だが価値ある仕事である。

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