選挙における投票の効力について – 有効票・無効票

選挙・投票台 選挙

選挙における投票用紙の記載内容により、有効票・無効票が判断される。
事務連絡が総務省より公開されており、その内容に沿って各選挙管理委員会が判断している。

関連

政党の名称

漢字、ひらがな、カタカナ表記いずれでも問題ない。
以下で示した「有効投票例」のような省略表記も認められる。

投票用紙

名簿届出政党等

名称略称有効投票例
NHK党NHKN党
公明党公明
国民民主党民主党国、国民
再生の道再生
参政党参政
社会民主党社民党社、社民
自由民主党自民党自、自民
チームみらいみらいチーム
日本維新の会維新維、維新の会
日本誠真会誠真会誠真
日本保守党保守党保守
日本改革党改革党改革
日本共産党共産党共、共産
無所属連合むれん無連
立憲民主党民主党立、立憲、立民
れいわ新選組れいわ
参議院比例代表選出議員の選挙における投票の効力について

候補者氏名

候補者名 … 山田 二郎(やまだ じろう)
の場合、以下のように、有効票、無効票と判断される可能性が高い。

投票用紙

有効票の例

  • 漢字表記
    山田 二郎
  • ひらがた表記
    やまだ じろう
  • カタカナ表記
    ヤマダ ジロウ
  • 漢字とひらがな(カタカナ)の混在
    山田 じろう
  • ローマ字表記
    YAMADA JIRO
  • 枠外に記載
  • 姓のみ記載(ただし、同一姓が複数人いる場合は按分される)
    山田
  • 名のみ記載(ただし、同一名が複数人いる場合は按分される)
    二郎
  • 重複記載(漢字とひらがなを記載)
    やまだ じろう
    山田 二郎
  • 裏書き(投票用紙の裏に記載したもの)
  • 横書き(縦書きを想定しているが、横書きで記載されたもの)
  • 逆さ書き(上下逆さに記載したもの)
  • 書き直し(二重線などにより、一度記載したものを取り消している場合は、取り消されていない文字が有効)
    渡辺 太郎
    山田 二郎
  • 身分の記載(現職知事が立候補し、他に元知事がなく混同される恐れがない場合)
    知事
  • 敬称の記載(先生、君、殿など)
    山田 二郎 様
  • 正しい職業、身分、住所、敬称を合わせて記載している場合
    東京都知事
    山田 二郎
  • 姓名が逆
    二郎 山田
  • 赤インキボールペンでの記載

有効票になる可能性が高い例

  • 漢字の誤字(選挙長が判断するが、有効となる可能性が高い)
    山田 次郎

無効票の例

  • 姓名を〇で囲む(他事記載)
  • 姓名を「」で囲む(他事記載)
    「山田 二郎」
  • 無関係の文字を記載(他事記載)
    山田 二郎に投票
    山田 二郎へ
    山田☆二郎
    山田 二郎♪
    山田 二郎がんばれ
    山田 二郎(^_^)
  • 二人以上の氏名が記載
  • ゴム印、活字の場合は無効
  • 白紙

総務省「参議院比例代表選出議員の選挙における投票の効力について」の解説

名簿登載者の氏名が記載されていない投票

┌─→ 政党名・略称の一部が記載されているか?
│
│   ┌─→ 社会的に広く認識されており、候補者と識別可能 → 有効
│   │
│   └─→ 特徴的な部分が記載され、他党と識別可能 → 有効
│
└─→ 政党名のみでは識別不可?
      │
      └─→ 代表者の氏名が併記されていて識別可能 → 有効
          │
          └─→ 他党の代表者名も併記 → 無効

名簿登載者の氏名が記載されている投票

┌─→ 通称の記載か?
│   │
│   ├─→ 選挙長認定済 → 有効
│   └─→ 認定外でも社会的に本人を指すと認められる → 有効
│
│   ※ 職業・肩書きのみ → 無効
│
├─→ 氏名+政党名の一部が記載?
│   └─→ 他党と類似していても識別可能 → 有効
│
├─→ 氏名の一部+政党名の一部?
│   └─→ 組み合わせで識別可能 → 有効
│
└─→ 氏名+他党の政党名が併記 → 無効

特定枠名簿登載者への投票

┌─→ 按分処理された票も含めて
│
└─→ その政党への有効投票とみなされる

一 名簿登載者の氏名の記載のない投票で名簿届出政党等の名称又は略称を記載したものについて
1 名簿届出政党等の名称又は略称の一部を記載したものと認められる投票で、
⑴ 社会的に当該名簿届出政党等の呼称として広く認識されており、名簿登載者の氏名と識別が可能なもの
⑵ 当該名簿届出政党等の名称又は略称の主要部分又は特徴的な部分が記載されており、他の名簿届出政党等の名称又は略称及び名簿登載者の氏名と識別が可能なもの
については当該名簿届出政党等の有効投票と解されるが、その若干の例を示せば次のとおりである。
(図は「名簿届出政党等」の項目に掲載のため省略)
上記有効投票例について、平仮名、片仮名で記載されたものは、名簿登載者の氏名と識別が可能なものに限り、当該名簿届出政党等の有効投票と解される。
2 名簿届出政党等の名称又は略称の主要部分又は特徴的な部分を記載しているが、それのみではいずれの名簿届出政党等への投票か識別が不可能な投票であっても、当該名簿届出政党等の代表者の氏名を記載することによって識別が可能な投票については、当該代表者に係る名簿届出政党等の有効投票と解される。
3 名簿届出政党等の名称又は略称のほかに、他の名簿届出政党等の代表者の氏名を記載した投票は、無効投票と解される。
二 公職の候補者たる名簿登載者の氏名の記載のある投票について
1 選挙長の認定を受けた通称を記載した投票が当該通称に係る名簿登載者の有効投票であることはもちろんであるが、通称認定を受けていない呼称であっても、その呼称が世間一般において当該名簿登載者を指すものと認められる場合においては、当該呼称を記載した投票は、当該呼称に係る名簿登載者の有効投票と解される。
なお、有効投票となるのは、あくまでも呼称と認められる場合であって、呼称と認められない単なる職業・身分等の記載は、仮に識別が可能であっても無効投票と解される。
2 名簿登載者の氏名の記載によりいずれの名簿登載者の氏名を記載したか識別が可能な投票で当該名簿登載者に係る名簿届出政党等の名称又は略称の一部が記載されたものは、当該名簿登載者に係る名簿届出政党等の名称又は略称の一部が、他の名簿届出政党等の名称又は略称の主要部分又は特徴的な部分と同一であっても、当該名簿登載者の有効投票と解される。
3 名簿登載者の氏名の一部が記載され、当該記載のみではいずれの名簿登載者への投票か識別が不可能な投票であっても、当該名簿登載者に係る名簿届出政党等の名称又は略称の一部が記載されることにより他の名簿登載者と識別が可能な投票は、当該名簿届出政党等に係る名簿登載者の有効投票と解される。
4 名簿登載者の氏名のほか、他の名簿届出政党等の名称又は略称が記載された投票は、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第68条第3項第6号の規定により無効投票である。
5 公職選挙法第68条の3の規定により、按分に関する同法第68条の2第3項及び第5項の規定を適用する場合を除き、特定枠名簿登載者の有効投票(同法第68条の2第5項の規定により按分して加えられた有効投票を含む。)は、当該特定枠名簿登載者に係る参議院名簿届出政党等の有効投票とみなされる。

参議院比例代表選出議員の選挙における投票の効力について

投票用紙の材質は合成紙

日本の選挙において使用される投票用紙の多くは、選挙システム機材を製造・販売している株式会社ムサシのテラック投票用紙BPコート110である。この用紙は、株式会社ユポ・コーポレーションが製造する高機能合成紙「ユポ」を基材としている。
ユポは、ポリプロピレンと炭酸カルシウムを主成分とする合成紙であり、耐水性、耐久性、筆記適性に優れている。特に、鉛筆での筆記が滑らかであり、折り曲げてもすぐに開く特性を持つため、開票作業が効率的に行える。
また、ユポは環境に配慮した素材であり、使用後はリサイクルが可能である。これにより、CO2排出量の削減やプラスチック使用量の削減にも貢献している。

投票用紙の保存期間

選挙の投票用紙は、開票後すぐに廃棄されるわけではない。公職選挙法第71条に基づき、当該選挙で選ばれた議員や首長の任期が終了するまで市町村の選挙管理委員会で保管される。

(投票、投票録及び開票録の保存)
第七十一条 投票は、有効無効を区別し、投票録及び開票録と併せて、市町村の選挙管理委員会において、当該選挙にかかる議員又は長の任期間、保存しなければならない。

公職選挙法(昭和二十五年法律第百号)
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