日本の選挙では、投票券(投票所入場券)が郵送され、それを持参して投票する仕組みになっている。
しかしこの制度には、本人確認が極めて甘いという重大な問題がある。
投票券を忘れても投票できる
日本では、投票券を忘れても係員に氏名・住所・生年月日を伝えれば投票できる。
多くの自治体では本人確認書類の提示は求められず、係員が口頭確認だけで本人と認めれば投票できてしまう。
つまり、なりすまし投票が制度上可能な仕組みだということだ。
投票券の盗難やなりすましのリスク
例えば、次のようなケースで不正投票が発生する可能性がある。
- 郵便ポストから投票券を盗まれ、他人に使われる。
- 家族や知人が本人の情報を使って、なりすまして投票する。
- 投票券を「忘れた」と申告してなりすましを行う。
こうした行為はもちろん犯罪だが、発覚しにくいため、実際に何件発生しているのかは不明だ。
公式には「発生していない」「ごくわずか」とされているが、単に検出できていないだけの可能性がある。
海外の状況:本人確認は常識
海外では、選挙時に公的身分証明書での本人確認を行うのが基本である。
国 | 本人確認方法 |
---|---|
アメリカ | 多くの州で写真付きVoter ID義務。身分証明書必須。 |
ドイツ | 全国民IDカード提示が義務。 |
フランス | 身分証明書提示が原則。 |
イギリス | 写真付き身分証義務化(2023年から段階導入)。 |
韓国 | 全国民が住民登録証を所持。提示が必要。 |
本人確認なしで投票できる仕組みは、国際的には異例と言える。
日本も見直すべきではないか
日本でも、次のようなシンプルな本人確認制度への移行が必要だと考える。
1. マイナンバーカード提示
- マイナンバーカードを持参し、係員が写真を目視確認。
- ICチップ認証は不要。災害時・停電時でも運用可能。
2. マイナンバーカード未取得者は公的身分証
- 運転免許証やパスポートなどの写真付き身分証明書で本人確認。
3. 投票券の郵送廃止
- 投票所入場券(ハガキ)の郵送は廃止。
- 不正使用リスクがなくなり、郵送コストも削減できる。
4. 身分証明書がない人への配慮
- 公的身分証を持たない人は、現行通り氏名・住所・生年月日の申告による例外対応を残すことも可能。
なぜ改善しないのか
- 「今まで問題が起きていない」というだけで、見直しは議論すらされていない。
- 本人確認が甘い現行制度は「民主主義の根幹に関わる脆弱性」だと認識すべきだろう。
まとめ
日本の選挙は、海外の標準と比べて本人確認が極めて甘い状態にある。
不正を未然に防ぐためにも、「投票は権利であると同時に本人確認が必須」という意識に変えるべき時だ。
マイナンバーカードと公的身分証明書による投票こそが、今後のあるべき選挙制度ではないだろうか。