2026年の世界経済予測:G7各国の債務残高・金利・インフレ・株価を分析

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名目債務・GDP・債務比・政策金利・長期金利から読み解く先進国の財政リスク

2026年の世界経済は、インフレの再加速、金利高止まり、財政赤字の拡大という三つの圧力の下で動いている。
その中心にあるのが、G7各国の財政構造だ。
名目債務残高、GDP、債務比、政策金利、長期金利を並べて比較すると、各国が抱える構造的な脆弱性が鮮明になる。

以下は、最新の名目債務残高(現地通貨・USD・JPY)、IMFの名目GDP、債務比、そして2025〜2026年の政策金利・長期金利を統合した一覧である。
為替レートは2026年初頭の市場レート(USD/JPY=150、EUR/USD=1.10、GBP/USD=1.25、CAD/USD=0.75)を使用した。

G7 名目債務残高(最新)+ GDP + 債務/GDP比

名目債務(現地通貨)名目債務(USD)名目債務(円)名目GDP(USD, IMF 2025)債務/GDP比(IMF 2025)
アメリカ$38.43兆38.43兆ドル5,764兆円29.0兆ドル122〜130%
日本1,324兆円8.83兆ドル1,324兆円4.3兆ドル230〜237%
ドイツ€3.482兆3.17兆ドル476兆円4.7兆ドル64%
イギリス£2.9兆3.63兆ドル544兆円3.4兆ドル101〜103%
フランス€3.482兆3.17兆ドル476兆円3.2兆ドル113〜117%
イタリア€3.131兆2.85兆ドル428兆円2.3兆ドル135〜137%
カナダ約 2.02兆CAD1.52兆ドル227兆円2.2兆ドル110〜114%

G7:政策金利(中央銀行レート)と長期金利(10年国債利回り)

政策金利(約)10年国債利回り(概況)
アメリカ3.50〜3.75%4.2〜4.3%
日本約 0.75%2.0〜2.1%
ドイツ(ECB)約 2.15%2.8〜2.9%
フランス(ECB)約 2.15%3.4〜3.5%
イギリス約 3.75%4.3〜5.2%
イタリア(ECB)約 2.15%3.4〜3.5%
カナダ約 2.25%3.0〜3.3%

読み解きポイント

アメリカ

名目債務は38.4兆ドルで世界最大。
GDP比は120%超に達し、利払い費は年1兆ドルを突破。
政策金利は3.5〜3.75%、長期金利は4.2%台。
高金利と財政赤字の組み合わせが最大のリスクとなる。

日本

名目債務は1,324兆円(8.8兆ドル)で世界2位。
GDP比は230%超で世界最大。
政策金利は0.75%、長期金利は2%台。
高齢化と社会保障費が構造的に重く、金利上昇局面では利払い負担が急増する。

ドイツ

名目債務は3.17兆ドルだが、GDPが大きいため債務比は64%とG7で最も低い。
政策金利はECBの2.15%、長期金利は2.8〜2.9%。
財政規律が強く、欧州の中では例外的に健全。

イギリス

名目債務は3.6兆ドル、債務比は100%前後。
政策金利は3.75%、長期金利は4.3〜5.2%。
財政赤字と高金利の組み合わせが成長の重荷となる。

フランス

名目債務は3.17兆ドル、債務比は110%台。
政策金利はECBの2.15%、長期金利は3.4〜3.5%。
財政赤字が慢性化し、金利上昇局面では脆弱性が増す。

イタリア

名目債務は2.85兆ドル、債務比は135%超。
政策金利はECBの2.15%、長期金利は3.4〜3.5%。
欧州で最も財政リスクが高い国の一つ。

カナダ

名目債務は1.5兆ドルと小さいが、債務比は110%超。
政策金利は2.25%、長期金利は3%台。
高金利環境では財政負担が増す。

利下げできないジレンマと2026年の世界経済

2026年の世界経済には、景気悪化の兆候が見え始めているにもかかわらず、主要国の中央銀行が利下げに踏み切れないという構造的なジレンマが存在する。
その背景にあるのは、依然として高止まりするインフレ率と、財政赤字の拡大による金利上昇圧力だ。

景気が減速しているにもかかわらず利下げができない状況は、金融政策の自由度を奪い、経済全体に複数のリスクをもたらす。

1. 景気後退の深刻化

本来なら景気悪化局面では利下げによって需要を下支えするが、インフレが高止まりしているため政策当局は動けない。
その結果、景気後退が深まりやすくなる。

2. 財政負担の増大

高金利が続くことで、政府の利払い費が増加する。
アメリカでは利払い費が年1兆ドルを超え、日本でも利払い負担が急増している。
利下げできない状況は、財政の持続性をさらに悪化させる。

3. 企業の資金調達コスト上昇

高金利が長期化すると、企業の借入コストが上昇し、投資が抑制される。
特に中小企業や不動産セクターは影響が大きい。

4. 家計の負担増

住宅ローンやクレジットの金利が高止まりすることで、家計の可処分所得が圧迫される。
消費の減速は景気悪化をさらに加速させる。

5. 金融市場のボラティリティ増大

利下げ期待が裏切られると、株式市場や債券市場は大きく揺れやすくなる。
特に高債務国では、長期金利の急騰が財政リスクを顕在化させる可能性がある。


株価上昇と好景気の要因:2026年の世界経済におけるもう一つの側面

一方で、2026年の世界経済には株価上昇や景気の底堅さを支える要因も存在する。
金融市場は常に未来を織り込むため、実体経済の弱さとは逆行する動きが生じることも珍しくない。

1. AI・半導体を中心とした構造的成長期待

生成AI、データセンター、半導体製造装置などの分野が世界的に投資を牽引している。
アメリカ市場ではハイテク企業が指数全体を押し上げ、日本でも半導体関連が株価を支えている。

2. 企業収益の底堅さ

高金利環境にもかかわらず、G7の大企業は価格転嫁やコスト削減で利益率を維持している。
企業収益が底堅い限り、株価は下支えされやすい。

3. 労働市場の強さ

アメリカ・カナダ・イギリスでは失業率が歴史的低水準にあり、賃金上昇が続いている。
消費が大きく落ち込まないことが景気の底堅さにつながっている。

4. インフレ鈍化の兆し

インフレは依然高いが、ピーク時と比べれば鈍化している。
市場は「利下げは遅れるが、いずれ実施される」という期待を織り込み、株価を押し上げている。

5. 過剰悲観の反動

2022〜2023年の急激な利上げ局面で市場が大きく調整したため、反動的な上昇も起きている。

6. 日本株の独自要因

日本株は以下の複合要因で強い動きを見せている。

  • 円安による企業収益の押し上げ
  • コーポレートガバナンス改革
  • 海外投資家の資金流入
  • 日銀の正常化が市場混乱を招かなかったこと

2026年の世界経済:二つの力が拮抗する構造

2026年の世界経済は、以下の二つの力が同時に存在する。

  • 財政リスク・高金利・インフレによる下押し圧力
  • 技術革新・企業収益・労働市場による上昇圧力

この二面性が、2026年の世界経済を極めて複雑な局面にしている。

名目債務残高、GDP、債務比、政策金利、長期金利を並べて比較すると、G7各国の財政構造は大きく異なる。
アメリカは名目額、日本はGDP比、欧州は構造的な二極化がそれぞれの弱点となる。
さらに、景気悪化にもかかわらず利下げができないという政策ジレンマが、2026年の世界経済の最大の不安要因となっている。

しかし同時に、AIを中心とした技術革新、企業収益の底堅さ、労働市場の強さが株価を支えており、金融市場は悲観一色ではない。
2026年は、財政リスクと成長期待が拮抗する、きわめて特徴的な年となっている。

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