自転車は歩道を時速何キロで走るべきか?正しいルールと徐行の目安

自転車 道路交通

1. 歩道走行の制限速度と「徐行」の具体的な目安

1-1. 徐行とは「直ちに停止できる速度」

道路交通法第63条の4第2項に基づき、普通自転車が歩道を通行する際には、車道寄りの部分を通行し、かつ「徐行」する義務が定められている。ここでいう徐行とは、「車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう」と定義されている(道路交通法第2条第1項第20号)。

具体的な速度について判例などでは、時速10キロメートル程度が目安であるとしている。これは歩行者の一般的な歩行速度(時速4キロメートル前後)の約2倍であり、歩行者との接触を防ぎつつ、即座に停止できる速度として設定されている。

2. 自転車が歩道を通行できる条件と根拠

2-1. 歩道走行が認められる3つのケース

自転車は原則として車道通行である(道路交通法第17条)。ただし、道路交通法第63条の4第1項の規定により、以下のいずれかに該当する場合は歩道の通行が認められる。

  • 標識等による許可: 「自転車歩道通行可」の標識や表示がある場合。
  • 運転者の年齢・身体状況: 運転者が13歳未満の児童や幼児、70歳以上の高齢者、または身体障害者である場合。
  • やむを得ない場合: 車道の交通量が多い、または道路の損壊や工事などによって車道通行が危険である場合。この判断は基本的に自転車利用者の合理的な裁量に委ねられる。
    • 普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる

3. リヤカー牽引自転車の歩道通行に関する扱い

3-1. 乗車も押すことも歩道通行は不可

宅配便などで利用されるリヤカーを牽引した自転車の扱いは、通常の自転車とは異なる。道路交通法第63条の3に規定される「普通自転車」の基準(長さ190cm以内、幅60cm以内など)から外れるため、リヤカー牽引自転車に乗車して歩道を走ることはできない

さらに、警察庁の通達「駆動補助機付リヤカー牽引三輪自転車の通行方法について」(平成29年10月30日)においても、歩道の通行は認められていない。また、自転車から降りて押して歩く場合、一般の歩行者は歩道通行が可能となるが、「側車付きのもの及び他の車両をけん引しているもの」は押しても歩行者とみなされない(道路交通法第2条第3項、警視庁の自転車交通ルールによる)。そのため、どのような状況であっても歩道を通行することはできない。

4. 歩道走行の取り締まりに関する警察庁の見解

4-1. 単なる歩道通行は取り締まり対象外

自転車の青切符制度導入などを受け、「歩道を通行しただけで反則金が科される」といった誤解が広がっている。実施には、「歩道走行が認められる3つのケース」で取り締まりを受けることはない。

取締りに関する主な発言内容

  1. 松村 祥史(国家公安委員会委員長)の答弁
    • 発言日: 令和6年(2024年)4月12日 衆議院内閣委員会
    • 発言趣旨: > 「具体的には、警察官の警告に従わずに違反行為を継続した場合や、違反行為により通行車両や歩行者に具体的な危険を生じさせた場合、あるいは交通事故に直結する危険な運転行為をした場合といったときに検挙を行っているところでございます。このような取締りの基本的な考え方は、交通反則通告制度の導入後も引き続き維持することとしております。」
  2. 早川 智之(警察庁交通局長)の答弁
    • 発言日: 令和6年(2024年)4月12日 衆議院内閣委員会
    • 発言趣旨: > 現在の自転車の交通違反に対する取締りは、自転車関連事故の発生状況や要望などを踏まえ、自転車指導啓発重点地区・路線を選定し、悪質性・危険性の高い違反行為について検挙を行っており、この基本的な考え方は交通反則通告制度の導入後も維持される。

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