民主党が分裂・消滅した理由とその後の動き

民主党 政治

2009年、政権交代を果たした民主党は、その後、党内対立と選挙敗北により分裂し、最終的に消滅した。現在の「立憲民主党」や「国民民主党」は、その民主党の分裂後の再編の結果である。ここでは、民主党が分裂した理由とその後の動きを、主要人物の行動とともに整理する。

民主党が分裂した理由

民主党は1998年、自民党に対抗するため結成されたが、保守系からリベラル系まで幅広い政治家が集まったため、政策の一貫性に欠けた。原発政策、安保法制、消費税増税などを巡り、党内対立が慢性化したことが分裂の原因である。

特に2012年、野田佳彦首相による消費税増税方針に小沢一郎らが反発し離党したことが、分裂の第一の契機となった。

その後も、安全保障関連法案への対応、共産党との選挙協力方針などを巡って内部対立が続き、最終的に党は消滅した。

分裂後の主要な流れ

  • 2012年:小沢一郎らが離党し「国民の生活が第一」を結成。その後、「生活の党」「自由党」と変遷し、最終的に国民民主党に合流した。
  • 2016年:民主党は党名を「民進党」に変更。支持回復を目指したが失敗。
  • 2017年:衆院選直前に民進党は分裂。保守系は小池百合子の「希望の党」に合流。リベラル系は枝野幸男が「立憲民主党」を新設した。希望の党は選挙後に失速し、国民民主党へと再編された。
  • 現在、旧民主党系は「立憲民主党」「国民民主党」「れいわ新選組」(山本太郎)に分かれている。
【民主党】(旧・民主党、1998年結党)
    │
    ├── 2012年:消費税増税を巡る対立
    │       └── 小沢一郎グループ → 【国民の生活が第一】
    │                                    ↓
    │                                【日本未来の党】
    │                                    ↓
    │                                【生活の党】
    │                                    ↓
    │                                【自由党】
    │                                    ↓
    │                                【国民民主党】へ合流(2019年)
    │
    └── 残った民主党(主流)
             ↓
        【民進党】(2016年に党名変更)
             │
             └── 2017年:衆院選直前の大分裂
                     │
                     ├── 保守・中道系議員
                     │       └── 【希望の党】(2017年結党・小池百合子主導)
                     │                ↓
                     │            【希望の党】失速・解党
                     │                ↓
                     │            【国民民主党】(2018年結党)
                     │
                     └── リベラル系議員(排除された側)
                             └── 【立憲民主党】(2017年結党・枝野幸男ら)
                                     │
                                     └── 現在、最大野党

【小池百合子】
    └── 自民党(小泉改革時代)
            ↓
        【東京都知事】(2016年就任)
            ↓
        【希望の党】(2017年設立)
            ↓
        国政政党構想は失敗 → 都政専念(希望の党は解党)

【山本太郎】
    └── 反原発運動(2011年~)
            ↓
        【無所属で参院初当選】(2013年)
            ↓
        小沢一郎と合流 → 【生活の党と山本太郎となかまたち】(2014年)
            ↓
        小沢と離れ独自路線へ
            ↓
        【れいわ新選組】(2019年結党)
            ↓
        現在:独自左派勢力

民主党分裂の経緯と時期

年月日出来事
2012年7月2日小沢一郎ら49人が離党し「国民の生活が第一」を結成。民主党から本格的な大量離党が発生した。
2012年12月16日第46回衆議院選挙で民主党が惨敗。政権喪失。事実上、党としての求心力を失う。
2016年3月27日民主党は「民進党」へ党名変更。実態は民主党のままだが、再出発を図った。
2017年9月25日小池百合子が「希望の党」結成を正式発表。民進党と合流協議が始まる。
2017年9月28日前原誠司が「民進党は希望の党に事実上合流する」と表明。民進党が分裂状態へ。
2017年10月2日枝野幸男が「立憲民主党」結党を正式発表。左派系議員を中心に結集した。
2017年10月22日第48回衆議院選挙。希望の党は失速、立憲民主党は野党第一党に浮上。民進党は事実上消滅

分裂の要因

民主党は1998年結党当初から、保守系とリベラル系が同居していた。特に、2012年の消費税増税法案成立が最初の分裂の決定打となった。小沢一郎らがこれに反発し離党。その後も、安保法制、共産党との選挙協力を巡って内部対立が続き、最終的には2017年衆院選直前に完全分裂した。

選挙ごとの動向

選挙民主党系の動向結果・特徴
2009年衆院選民主党(鳩山)圧勝。自民党から政権交代。
2010年参院選民主党(菅内閣)敗北。ねじれ国会発生。
2012年衆院選民主党(野田内閣)大敗。政権失う。自民党復帰。小沢系が離党済み。
2014年衆院選民主党(岡田体制)回復できず。野党第1党は維持。
2016年参院選民進党野党共闘を始めるも、苦戦。共産党との共闘に反発続出。
2017年衆院選民進党分裂 → 希望の党(小池)・立憲民主党(枝野)立憲民主党が野党第1党に。希望の党失速。
2019年参院選立憲民主党、国民民主党に分裂したまま選挙共倒れ傾向。野党分裂が固定化。
2021年衆院選立憲民主党中心に共闘共産党との共闘が有権者に嫌われ苦戦。維新躍進。

現在の主要勢力

政党名概要
立憲民主党旧民主党左派・リベラル中心。野党第一党。
国民民主党旧民主党中道・保守系。連合系組織票に依存。
れいわ新選組山本太郎が設立した独自左派政党。

まとめ

民主党は1998年、自民党に対抗するため結成されたが、2012年7月2日に分裂を開始し、2017年10月22日の衆院選で完全に消滅した。その後、立憲民主党と国民民主党に分かれ、今日に至る。

タイトルとURLをコピーしました